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国家資格・法令

ドローン国家資格の一発試験(実地試験)対策|試験の流れ・実技科目・合格基準・減点ポイント【一等・二等マルチ】

講習に通わず、指定試験機関の実地試験を直接受ける「一発試験」。費用を抑えられる一方で、試験の中身を自分で調べて準備する必要があります。修了審査員の立場から、国の基準をもとに全体像を整理しました。

執筆:吉田靖彦(代表取締役/一等・二等無人航空機修了審査員) |監修:関口拓矢(講師責任者) |公開日:2026-09-26

当校では登録講習機関として修了審査を行っていますが、「講習に通わずに一発試験で取れないか」というご相談もよくいただきます。一発試験は、試験の基準を正しく理解し、十分に練習できる環境があれば、合格を目指せる選択肢です。一方で、国の基準を知らないまま受けると、操縦以外の部分で大きく点を落とすことがあります。この記事では、国土交通省の「無人航空機操縦士実地試験実施基準」と、一等・二等それぞれの「実地試験実施細則(回転翼航空機・マルチローター)」(令和7年12月5日改正、令和8年6月5日施行)をもとに解説します。

1. 一発試験とは?講習ルートとの違い

ドローンの国家資格(無人航空機操縦者技能証明)を取るルートは、大きく2つあります。

ルート学科実地
登録講習機関の講習を修了指定試験機関の学科試験を受験講習の修了審査に合格すれば、指定試験機関の実地試験は免除
一発試験(直接受験)指定試験機関の学科試験を受験指定試験機関の実地試験を受験

どちらのルートでも、実地の審査・試験の中身は同じ基準です。国の実施基準は、登録講習機関の修了審査にもこの基準を準用すると定めています。違いは、講習で教わりながら練習するか、自分で準備するかです。なお、実地試験は学科試験に合格してからでないと受けられません。

2. 実地試験の構成と合格基準

実地試験は、「机上試験」「口述試験」「実技試験」で構成され、基本(昼間・目視内)の試験は次の順番で進みます。

  1. 机上試験:試験員が示す模擬飛行計画について、留意事項(法令遵守、安全確保措置、機体の仕様・限界、自動飛行機能やフェールセーフの設定など)を答える。二等は4問・5分、一等は5問・10分
  2. 口述試験(飛行前点検):飛行空域などの確認(3分)、作動前点検と作動点検(合わせて12分)。結果を日常点検記録に記入する
  3. 実技試験:実際に機体を飛ばす(下で詳しく解説)
  4. 口述試験(飛行後の点検と記録):飛行後点検と飛行記録の記入(合わせて5分)
  5. 口述試験(事故・重大インシデント):該当する事態を3つ答える(3分)、事故発生時の処置についての質問1問(3分)

合格基準

100点の持ち点からの減点方式です。各試験科目の終了時に、二等は70点以上、一等は80点以上の持ち点を確保していれば合格です。机上試験は誤答・未回答1問につき5点、事故・重大インシデントの口述は抜けや誤り1つにつき5点が引かれます。

点検と記録の口述試験も大きな配点を持ちます。飛行前の点検漏れは10点、飛行記録の記載漏れや飛行時間の計算誤りも10点の減点です。点検の具体的な手順は、コラム「ドローンの日常点検のやり方」で解説しています。

3. 二等(マルチローター)の実技科目

科目内容制限時間
スクエア飛行位置安定機能ON。高度3.5mで5秒ホバリング後、口頭指示の経路を直線で飛行。機首は常に進行方向8分
8の字飛行位置安定機能ON。高度1.5mで5秒ホバリング後、機首を進行方向に向けて8の字を連続2周(円の直径は約5m)8分
異常事態における飛行位置安定機能OFF。高度3.5mで5秒ホバリング後、機首を前方に向けたまま側方へ直線1往復以上。緊急事態の宣言でその場でホバリングし、指示で高度を保って最短経路で着陸地点へ移動・着陸6分

4. 一等(マルチローター)の実技科目

一等は、立入管理措置を講じない飛行を前提とするため、すべての科目を位置安定機能OFFで行います。

科目内容制限時間
高度変化を伴うスクエア飛行高度1.5mで5秒ホバリング後、口頭指示の経路を直線で飛行。一部の区間で1.5m〜3.5mの高度変化を伴う。機首は常に進行方向6分
ピルエットホバリング高度3.5mで5秒ホバリング後、離陸地点で指示された方向に、20秒程度で1回転する速度で回転3分
緊急着陸を伴う8の字飛行高度1.5mで5秒ホバリング後、機首を進行方向に向けて8の字を1周以上。緊急事態の宣言でホバリングし、指示で高度を保って最短経路で着陸地点へ移動・着陸5分

※夜間(昼間飛行の限定変更)・目視外(目視内飛行の限定変更)・25kg以上(最大離陸重量25kg未満の限定変更)の試験は、基本の試験とは別の科目があります。基本の試験に不合格になると、同じ日の限定変更の試験も不合格になります。

点検と記録は、アプリで満点を取りにいく

一発試験を受ける方向けに、点検練習アプリ「CheckMaster(点検マスター)」は、14日間の無料体験のあと、60日パス(1,000円・税込・買い切り)でご利用いただけます。本番と同じ制限時間で、点検から記録まで練習できます。

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5. 即不合格になる行為と、よくある減点

実技試験では、次のような場合はその場で試験が中止され、不合格になります。

よくある減点は次のとおりです。

内容減点
機体の半分以上が減点区画に入った(区間ごとの初回は、指示後おおむね2秒以内に戻れば減点なし)5点
ホバリング・着陸で、機体の半分が直径2mの区画からはみ出した5点
試験員の指示と異なる手順・方向・高度で飛ばした、指示の前に動かした5点
接地時に強い衝撃を与えた、離着陸時に転倒させた5点
離陸前・着陸前の安全確認をしなかった(確認したことを試験員に伝えなければ、確認していないとみなされる)5点
目視内飛行でカメラ画像を注視するなど、機体と周囲の監視が不十分5点
大きなふらつき、急な加減速・急停止、一時的な機首方向のずれ1点

操縦が上手な方でも、「安全確認を声に出して伝える」「指示を待ってから動かす」といった手順の部分で5点ずつ落としてしまうことがよくあります。操縦練習と同じくらい、試験の「作法」を身につけることが大切です。

6. 一発合格のための準備

独学での準備に不安がある場合は、登録講習機関の講習を受けるルートも検討してみてください。講習では、試験と同じ基準の修了審査に向けて、講師が実機で指導します。当校の講習コース一覧もご覧ください。

7. よくある質問

Q. 一発試験の実地試験は何点で合格ですか?
A. 100点の持ち点から減点していく方式で、各試験科目の終了時に、二等は70点以上、一等は80点以上の持ち点を確保していれば合格です。

Q. 一発試験では機体を自分で用意する必要がありますか?
A. 国土交通省の実地試験実施基準では、最大離陸重量25kg未満のマルチローターの実地試験を除き、受験者が機体などの機材を持ち込み、試験場も受験者が準備することとされています。25kg未満のマルチローターで受験する場合の具体的な運用は、指定試験機関の案内を確認してください。

Q. 学科試験の前に実地試験を受けられますか?
A. 受けられません。実地試験実施基準では、受験者は実地試験に先立って学科試験に合格していなければならないとされています。

Q. 一発試験で即不合格になるのはどんなときですか?
A. 墜落や物件への衝突、不合格区画への進入、制限時間の超過、試験員による操作介入、おおむね5m/s以上の危険な速度での飛行、合理的な理由なく操縦装置を両手で持たなかった場合、周囲の安全を確保せずにモーター等を作動させて点検した場合などは、その場で不合格になります。

監修者コメント(関口拓矢・講師責任者)

「修了審査で点を落とす方の多くは、操縦そのものより、安全確認の伝え方や指示を待つタイミングといった『手順』でつまずいています。一発試験に挑戦する方も、操縦練習と合わせて、試験の流れを通しで練習しておくことをおすすめします。」

参考にした情報源

※受験の申込み・受験料・試験会場などは、指定試験機関の最新の案内を必ずご確認ください。制度・基準は改正される場合があります。

まとめ:操縦だけでなく「点検・記録・作法」で点を落とさない

一発試験の実地試験は、机上・口述・実技を通じた100点満点の減点方式で、二等70点・一等80点が合格ラインです。位置安定機能OFFでの操縦練習はもちろん、点検と記録、安全確認の伝え方、指示を待つ手順といった部分で点を落とさないことが、一発合格への近道です。

独学に不安があれば、講習ルートもご検討ください