ドローン活用事例
ドローンでカモの食害を防ぐ|自動充電ロボットドローンによる夜間の追い払い実証(農研機構プロジェクト)
夜の田畑に、ドローンが自動で飛び立ち、カモを追い払い、また充電ポートへ戻っていく——。農業の現場で進む、ロボットドローンの実証を紹介します。
巡回を終え、充電ポートへ帰還するロボットドローン(実証の映像より)
株式会社Taskは、農研機構(国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構)の「戦略的スマート農業技術の開発・改良」の課題「フルシーズン対応型ロボットドローンの開発による鳥獣被害防止とセンシングデータを利用した生産性向上」(代表機関:長崎県農林技術開発センター)に参画し、ロボットドローンの機体製作とドローンオペレーターを担当しています。この記事では、その中のひとつ「ドローンの追い払いによるカモ被害の軽減」の取り組みを紹介します。
1. なぜカモの対策が必要なのか
農研機構の課題概要によると、干拓地やレンコン田ではカモによる食害が深刻化しており、カモの生態に応じた新しい対策が急がれています。人が夜通し見回ることは難しく、決まった時間に自動で飛んで追い払えるドローンに期待が集まっています。この課題では、カモの追い払いによって飼料用の麦の収量を25%増やすことを目標に掲げています。
2. 「ロボットドローン」とは
この実証では、生産現場のニーズに合わせて仕様を変えられるドローンを「ロボットドローン」と呼んでいます。課題概要では、搭載できる機能として次のものが挙げられています。
- 自動充電:充電ポート(ステーション)に着陸すると、ワイヤレスで充電が始まる(株式会社ビー・アンド・プラス〈埼玉県比企郡小川町〉の開発品)
- 寒冷地対応:マイナス20℃の寒冷地でも使える機体の開発(シカの生息調査などで活用)
- 映像配信:飛行中の映像を地上のモニターへ送り、安全を確認する
- 自動追尾など
機体(ロボットドローン)は株式会社AAAと株式会社Task、制御システムは徳島大学と株式会社MMラボ、ワイヤレス充電(自動充電ポート)は株式会社ビー・アンド・プラス(埼玉県比企郡小川町)が担当しています。
3. 夜間の追い払い飛行の流れ
実証の映像から、1回の飛行の流れを紹介します。
夜間、灯火を付けたロボットドローンが、ビー・アンド・プラス社開発の充電ポートから飛び立ちます。
暗闇でも、赤外線カメラの映像で地上の様子を確認できます。映像にはカモの群れも映っています。
巡回を終えると充電ポートへ戻り、着陸後にワイヤレスで充電が始まります。
追い払いの方法は、低空で定期的に巡回する方法(Try1)や、吊り下げた部材が触れるほど接近する方法(Try2)などを組み合わせ、期間や方法を変えながら技術の確立を目指しています。効果の検証には、ディープラーニングによるカモの自動カウント技術が使われています(カモの計測は酪農学園大学・株式会社FRSコーポレーションが担当)。
用途に合わせた機体づくりのご相談
株式会社Taskのドローン製作部門「Task drone Lab」では、ArduPilotをベースにした産業用ドローンの開発・製造を行っています。
4. カモだけではない、ロボットドローンの活用
この課題では、同じロボットドローンを1年を通して使い回すことで、低コストで使えるドローンの利用モデルをつくることを目指しています。カモの追い払いのほかにも、次のような取り組みが並行して進められています。
| 取り組み | 内容 | 目標 |
|---|---|---|
| カモの追い払い | 夜間の自動飛行で追い払い、食害を防ぐ | 飼料麦の収量25%増 |
| シカの被害軽減 | 寒冷地仕様のドローンで生息調査、UGV(地上ロボット)の給餌で誘引 | 給餌誘引作業の25%省力化 |
| 温州みかん | 衛星やドローンのセンシングで収量を予測し、施肥を最適化 | 施肥コスト10%削減 |
| 種ばれいしょ | ドローンセンシングとAI解析で、ウイルス感染などの異常株を抽出 | 労働時間10%削減 |
株式会社Taskは、このうちロボットドローンの開発、カモの追い払い、シカの生息調査(寒冷地ドローンの開発・実証)、種ばれいしょの異常株検出(現地センシング)に参画しています。
5. 夜間にドローンを飛ばすには
夜間の飛行は、航空法の「特定飛行」に当たります。夜間に飛ばすには、国土交通大臣の承認を受けるか、夜間の限定を解除した技能証明と機体認証などが必要です。また、暗い中では機体の姿勢や周囲の状況を目で確認しにくいため、灯火の搭載や、映像による安全確認が欠かせません。
当校(日本UAV産業オペレータートレーニングセンター)では、夜間飛行・目視外飛行・25kg以上の機体の限定変更(限定解除)講習を行っています。実証の現場で培った経験を、講習の中でもお伝えしています。
よくある質問
Q. ロボットドローンとは何ですか?
A. この実証では、生産現場のニーズに合わせて仕様を変えられるドローンを「ロボットドローン」と呼んでいます。自動充電、寒冷地対応、映像配信、自動追尾などの機能を搭載でき、充電ポートから定期的に自律飛行して追い払いやセンシングを行う運用を目指しています。
Q. なぜ夜間に飛ばすのですか?
A. この実証では、夜間に自動で飛行してカモを追い払い、食害を防ぐ技術の確立を目指しています。暗い中でも状況を確認できるよう、赤外線カメラの映像を地上のモニターで確認しながら運用します。
Q. 夜間にドローンを飛ばすには許可が必要ですか?
A. 夜間飛行は航空法の特定飛行に当たるため、国土交通大臣の承認、または技能証明(夜間の限定を解除したもの)と機体認証などが必要です。当校では、夜間飛行の限定変更講習も行っています。
参考にした情報源
- 農研機構「フルシーズン対応型ロボットドローンの開発による鳥獣被害防止とセンシングデータを利用した生産性向上(SA1-413G1)」課題概要
- 株式会社Task 撮影の実証映像
- 株式会社ビー・アンド・プラス「ドローン向けワイヤレス充電システム」
※目標値は課題概要に記載された研究の目標であり、成果を示すものではありません。
まとめ
自動充電ポートから夜間に自動で飛び立ち、赤外線カメラで見守りながらカモを追い払い、また充電ポートへ戻る。ロボットドローンは、人手の足りない農業の現場で、1年を通して働く「見回り役」になりつつあります。株式会社Taskは、機体製作と運用の両面から、こうした現場の課題解決に取り組んでいます。
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