ドローン活用事例
ドローンを活用した害獣対策とは?イノシシ・シカ・サル被害の新しい解決策
広い農地や山あいを、空から短時間で確認できるドローン。害獣対策で何ができるのか、飛ばすときに必要なルールとあわせて整理します。
農業と地域社会を悩ませる害獣被害
農林水産省の統計では、令和6年度の野生鳥獣による農作物被害額は全国で約188億円で、前年度より約24億円増えました。獣種別では、シカが約79億円、イノシシが約45億円と、大きな割合を占めています(出典は記事末尾)。
農家の高齢化や狩猟者の減少もあり、従来の見回りや捕獲だけでは十分な対策が難しい地域があります。そこで注目されているのが、ドローンを活用した害獣対策です。ドローンは空から広範囲を短時間で確認できるため、人力では難しい山林や農地の調査を効率化できます。
ドローンによる害獣対策でできること
1. 生息状況の調査
ドローンを活用すると、次のような情報を上空から確認できます。
- イノシシの侵入ルート
- シカの行動範囲
- サルの群れの位置
特に広い農地や山間部では、人が歩いて調査するよりも短時間で広範囲を把握できます。
2. 赤外線カメラによる夜間調査
害獣は夜間に活動することが多くあります。赤外線カメラを搭載したドローンを利用すると、次のことを確認できます。
- 夜間の生息状況
- 行動パターン
- 出没時間帯
これにより、より効果的な捕獲計画や侵入防止対策を立てやすくなります。
夜間に飛ばすときの注意
夜間飛行は航空法の「特定飛行」に当たります。夜間に飛ばすには、国土交通大臣の承認を受けるか、夜間の限定を解除した技能証明と機体認証などが必要です。当校では、二等の限定変更(限定解除)講習で夜間飛行の限定解除を行っています。
3. 威嚇・追い払い
ドローンにスピーカーやライトを搭載し、次のような鳥獣の追い払いに活用されるケースもあります。
- イノシシ
- シカ
- カラス
定期的に飛行させることで、農地への侵入を抑える効果が期待されています。機体に機器を搭載する場合や飛行する場所によっては、国土交通省の許可・承認が必要になることがあります。
当校(株式会社Task)は、農研機構の課題に、機体製作とドローンオペレーターとして参画し、夜間に自動で飛行してカモを追い払うロボットドローンの実証に取り組んでいます。詳しくは「ドローンでカモの食害を防ぐ」の記事をご覧ください。
害獣対策でドローン操縦技術が重要な理由
害獣対策でドローンを活用するには、単に飛ばせるだけでは不十分です。次のような知識と技術が必要です。
- 地形を考慮した飛行計画
- 夜間運用の知識
- 安全管理
- 関係法令の理解
特に山林や農地周辺では、第三者の安全確保や飛行ルールの理解が欠かせません。そのため、実践的な訓練を受けることが重要です。
害獣対策にドローン国家資格は必要?
害獣対策の業務そのものに、国家資格は必須ではありません。ただし、夜間飛行や目視外飛行などの特定飛行を行う場合は、国土交通大臣の許可・承認、または該当する限定を解除した技能証明が必要です。
当校にも、自治体の農林・畜産関係の機関から、ドローンの国家資格講習(二等)を受講される方がいます(長崎県の農林関係の機関から2名、埼玉県の機関から3名)。業務としてドローンを飛ばす以上、操縦技術と安全管理の知識は欠かせないためです。
日本UAV産業OTCで学べること
日本UAV産業OTC(国土交通省登録講習機関)では、二等・一等無人航空機操縦士の国家資格講習のほか、夜間飛行・目視外飛行・25kg以上の機体の限定変更(限定解除)講習を行っています。実証の現場で培った経験を、講習の中でもお伝えしています。
よくある質問
Q. 害獣対策でドローンを使うのに、国家資格は必要ですか?
A. 害獣対策の業務そのものに、国家資格は必須ではありません。ただし、夜間飛行や目視外飛行などの特定飛行を行う場合は、国土交通大臣の許可・承認、または該当する限定を解除した技能証明が必要です。
Q. 赤外線カメラで夜間に調査するのに、許可は必要ですか?
A. 夜間飛行は航空法の特定飛行に当たるため、国土交通大臣の承認、または技能証明(夜間の限定を解除したもの)と機体認証などが必要です。当校では、夜間飛行の限定変更講習も行っています。
参考にした情報源
- 農林水産省「全国の野生鳥獣による農作物被害状況(令和6年度)」
まとめ
害獣被害は全国で深刻化しており、ドローンはその対策手段として大きな可能性を持っています。これからの害獣対策には、調査、監視、データ活用、安全運用が求められます。ドローン技術を身につけたい方や、害獣対策業務への活用を検討している方は、国家資格の取得とあわせて、夜間飛行などの運用ルールと実践的な操縦技術を学ぶことをおすすめします。
国家資格・夜間飛行の講習について、まずは体験・ご質問から